『ユーザビリティエンジニアリング』の書評【ユーザー視点が身につく実践書】
樽本徹也『ユーザビリティエンジニアリング(第2版)』の書評。ユーザ調査・設計・評価の実践手法を学べる一冊。エンジニアや個人開発者がユーザー視点を身につけるために読んでおきたいポイントを紹介します。
今回紹介する本は『ユーザビリティエンジニアリング(第2版)―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法―』です。
書籍情報
著者:樽本 徹也 出版社:オーム社 発売日:2014/2/26
✅ ユーザビリティエンジニアリングはこんな人にオススメ
このような悩みを持つ方にオススメです。
こんな方におすすめ
- Web/アプリのUI/UXデザインに関わっている、またはこれから関わりたい方
- ユーザビリティテストを始めたいが、やり方がわからない方
- エンジニアだけどユーザー視点の設計手法を身につけたい方
- プロダクト開発でなんとなくの感覚ではなく、根拠のある改善をしたい方
著者の樽本徹也さんはUX/ユーザビリティ分野で7冊の著作を持つ専門家で、本書は初版からの累計が1万3千部を超えるロングセラーです。
「ユーザビリティはプロセスから生まれる」という考え方のもと、調査→設計→評価の一連の流れを実践的に学べる入門書になっています。
なぜユーザビリティエンジニアリングを読もうと思ったのか
僕が『ユーザビリティエンジニアリング』を読もうと思った理由は2点あります。
僕がこの本を読もうと思った理由
・会社でも個人開発でも、最終的にはユーザーの課題を解決することが必要だと感じた ・ユーザー調査のやり方から考え方まで、しっかり学ぶ必要があると思った ・AIの時代が進む中で、鮮度と密度の高い一次情報を得る力がますます重要になると感じた
エンジニアとして開発をしていると、つい技術的な実装に目がいきがちです。
でも、どんなにコードが綺麗でも、どんなに高度な技術を使っていても、ユーザーが使いにくければ意味がないですよね。
会社のプロダクトでも、個人開発のサービスでも、結局のところ「ユーザーの課題を解決できているか?」が一番大事なポイントです。
そのためには、なんとなくの感覚ではなく、ちゃんとした調査や評価の方法を知っておく必要があるなと感じて、この本を手に取りました。
また、これからAIの時代が本格的に来ると、エンジニアやITのモノづくりがもっと一般的になっていくと考えています。そうなったとき、差がつくのは「どれだけ鮮度の高い、密度の濃い一次情報を自分の手で集められるか」だと僕は考えています。
ユーザビリティエンジニアリングで学べるインタビューやユーザテストの手法は、まさにその一次情報を得るための技術。AIがコードを書いてくれる時代だからこそ、「ユーザーの声を直接聞いて、本当の課題を見つける力」が武器になると感じました。
📖 ユーザビリティエンジニアリングはどんな本?
弟子入り、ペルソナ、ペーパープロトタイプ、ヒューリスティック評価、ユーザテスト、etc...。そんなユニークな手法の数々を駆使して、優れたUX/ユーザビリティを実現する――それが『ユーザ中心設計(人間中心設計)』です。ユーザ中心設計を用いれば、技術優先の考えや作り手の勝手な思い込みを排除して、常にユーザの視点に立った製品やサービスの開発が行えます。本書は、その具体的なプロセスと手法を解説しています。
-Amazon内部紹介より
ユーザビリティエンジニアリングの大まかな流れ
第1部:調査・分析
- ユーザ中心設計概論
- インタビュー法
- インタビューの実践
- データ分析法
第2部:設計
- 発想法
- プロトタイプ
第3部:評価
- ユーザビリティ評価法
- ユーザテスト
- ユーザテストの準備
- ユーザテストの実施
- 分析と再設計
「調査→設計→評価」という流れで、ユーザ中心設計のプロセス全体をカバーしています。
特に実践的なのが、インタビューの具体的なやり方からユーザテストの準備・実施まで、「で、実際どうやるの?」という部分がしっかり書かれているところです。
ここからは僕が『ここは響いた!』というポイントを引用しながら、紹介します。
💡 ユーザビリティは「効果→効率→満足度」の順で攻略する
効果・効率・満足度という尺度を用いて評価するのです。(中略)これら3要素を全て満足して初めてその製品はユーザブルであると言えることになります。しかし実際にはそれらは簡易なことではありません。そこで問題の深刻さを考慮しながら、原則としてまず効果問題から解決に取り組んで、あとは時間とコストの制限の中でなるべく多くの効率問題や満足度問題を解決するという現実的なアプローチになります。
ー著書、ユーザビリティエンジニアリングより抜粋
ユーザビリティというと漠然とした「使いやすさ」をイメージしがちですが、「効果」「効率」「満足度」という3つの尺度に分解して評価するという考え方がとても腹落ちしました。
特に響いたのは、**「全部を一度に完璧にするのは現実的じゃない。まず効果問題から」**という優先順位の付け方です。
エンジニアとして開発していると、つい細かいUIの使い心地(効率・満足度)に目がいきがちですが、そもそもユーザーがやりたいことを達成できない(=効果がない)なら、それ以前の問題ですよね。限られた時間とコストの中で何から手をつけるべきか、この指針があるだけで判断がブレにくくなると感じました。
🔍 10人に聞けば、パターンが見えてくる
同じ仕事についてユーザー10人に話を聞いて分析すれば、おおよそ3〜4種類のパターンが浮かび上がるはずです。
ー著書、ユーザビリティエンジニアリングより抜粋
「ユーザー調査って何百人も集めないといけないんじゃ…」と思っていた僕にとって、この一文はかなり気持ちが楽になりました。
たった10人にインタビューするだけで、3〜4種類の行動パターンが見えてくる。 これなら個人開発者でも、小さなチームでも十分に実践できます。
大規模なアンケートや統計的な分析ももちろん価値がありますが、まずは少人数でも「ユーザーの声を直接聞く」ことが大事なんだと気づかせてくれました。**完璧なリサーチを目指して何もしないより、10人に聞いてパターンを掴む方がよっぽど前に進める。**そんなメッセージが込められていると感じます。
🎯 シナリオが描けない=その製品は何の役にも立たない
ところで、もし、シナリオが描けないとすれば?――その製品は「何の役に立つのかわからない」ということです!
ー著書、ユーザビリティエンジニアリングより抜粋
本書でいう「シナリオ」とは、ユーザーがその製品を使って目的を達成するまでの一連のストーリーのことです。
この一文、ものすごくシンプルなのに刺さりました。「こういう人が、こういう場面で、こう使って、こう解決する」というストーリーが描けないなら、そもそもその製品は作る意味がない。
個人開発をしていると、「この技術を使ってみたい」「こんな機能があったら面白そう」という技術起点の発想で始めてしまうことがあります。でもそれは、本書の言葉を借りれば**「作り手の勝手な思い込み」**そのものです。
機能を追加する前に、まずシナリオを描いてみる。それだけで「本当に必要なもの」と「あったらいいかも程度のもの」を見極められるようになるはずです。
まとめ・要約
レビュー:⭐⭐⭐⭐
エンジニアや個人開発者が「ユーザー視点」を体系的に身につけるための一冊としては、間違いなくオススメできる書籍でした。
『ユーザビリティエンジニアリング(第2版)』のまとめ・感想
- 「調査→設計→評価」のプロセス全体を実践的に学べる
- インタビューやユーザテストの具体的なやり方が載っている
- エンジニアでも読みやすく、すぐに実践に移せる内容
- 「なんとなくの改善」から「根拠のある改善」に変われるきっかけになる
技術力を高めることももちろん大事ですが、それと同じくらい「ユーザーを理解する力」も大事だと改めて感じさせてくれました。
ユーザーの課題を解決するプロダクトを作りたい方は、ぜひ一度読んでみてください。
今回は以上です。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!てばさん(@basabasa8770)でした!
