『具体と抽象』の書評【議論がかみ合わない原因はコレだった】
細谷功『具体と抽象』の書評・感想。議論がかみ合わない原因は「抽象度のレベルの違い」にあった。エンジニア・PDM間のコミュニケーションにも活きる、思考の解像度を上げる一冊を紹介します。
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今回紹介する本は『具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ』です。
書籍情報
著者:細谷功 単行本:136ページ 出版社:dZERO 発売日:2014/11/27
✅ 『具体と抽象』はこんな人にオススメ
このような悩みを持つ方にオススメです。
こんな方におすすめ
- 議論がかみ合わないことにモヤモヤしている人
- 「考える力」を根本から鍛えたい人
- 物事の本質を見抜く思考法を身につけたい人
- 抽象的思考が苦手で、具体例がないと理解しにくいと感じている人
本書は、ビジネスコンサルタントとして知られる細谷功さんが「具体」と「抽象」という切り口で人間の知性のしくみを解き明かした一冊です。
136ページとコンパクトながら、全20章にわたって「数と言葉」「本質」「アナロジー」「二項対立」など多彩な角度から具体と抽象の関係を紐解いていきます。マネージャー職の方々がジャンル問わずおすすめする、まさに 普遍的な良書 です。
なぜ『具体と抽象』を読もうと思ったのか
僕が『具体と抽象』を読もうと思った理由は1つです。
僕がこの本を読もうと思った理由
・営業・技術職問わず、大体のマネージャー職の方がおすすめしてくれる本だったから
職種を問わず、これだけ多くの人がおすすめしてくれるということは、きっと普遍的に良い本なんだろうなと。実際に読んでみて、その期待は裏切られませんでした。
📖 『具体と抽象』はどんな本?
本書は「具体と抽象」という対比を軸に、人間の知性のしくみを解き明かす本です。
『具体と抽象』の大まかな流れ
- 序章:抽象化なくして生きられない
- 第1章〜第5章:数と言葉、デフォルメ、法則とパターン認識など、具体と抽象の基本
- 第6章〜第10章:往復運動、相対性、本質、自由度など、両者の関係性を深掘り
- 第11章〜第15章:量と質、二項対立、アナロジーなど、実践的な思考法
- 第16章〜第20章:バイアス、理想と現実、マジックミラーなど、応用編
- 終章:抽象化だけでは生きにくい
1章あたり数ページで構成されているので、サクッと読めます。それでいて、読むたびに新しい発見がある構成になっています。
ここからは僕が『ここは響いた!』というポイントを引用しながら、紹介します。
💡 上流の仕事に多数決は向かない
「下流の仕事のやり方」に慣れている人は、多人数で議論を繰り返して多数決による意思決定をすることが仕事の品質を上げるという価値観で仕事をしますが、これは上流側の抽象度の高い仕事には適していません。上流側の仕事では、口を出す人の数が増えれば増えるほど、焦点がぼけて角の丸くなった凡庸なものになっていくからです。
ー細谷功、具体と抽象より抜粋
これは本当に身に染みました。
僕は現在エンジニアから少しずつPDM(プロダクトマネージャー)として、プロダクトがどうあるべきか・どんな機能を作るべきかを考える立場になってきています。その中で、 色々な人に意見を聞けば聞くほど、全員の意見を守ろうとして無難で複雑な機能が出来上がってしまった経験 がありました。
まさにこの引用の通りで、上流の意思決定では「多くの人に聞く=良い結果」にはならないんですよね。むしろ焦点がぼけていく。
この経験を経て、 誰に聞くかを絞る必要がある ということを強く感じました。全員の意見を取り入れようとすると、結局誰にも刺さらないものが出来上がる。上流の仕事ほど、少数の的確な意見に集中することが大事だと改めて学びました。
🔍 具体と抽象は「相対的」である
「具体と抽象」という言葉自体が「相対的な関係性」を示す概念であって、絶対的な具体性や絶対的な抽象性があるわけではありません。
ー細谷功、具体と抽象より抜粋
言われてみれば「確かに」と思うのですが、改めて言語化されると腑に落ちます。
具体と抽象には明確な境界線があるわけではなく、 階層によって「具体的」にも「抽象的」にもなり得る んですよね。たとえば、ある話がAさんにとっては具体的でも、Bさんにとっては抽象的に感じることがある。
これを意識すると、 ソリューションとして「抽象すぎる」「具体すぎる」 ということが起きる原因もわかってきます。提案する側と受け取る側で、見ている階層が違うだけなんです。同じ言葉を使っていても、抽象度のレベルが違えば全く違うものを指していることがある。この気づきは日々の仕事でかなり役立っています。
🔀 議論がかみ合わない本当の理由
「抽象度のレベル」が合っていない状態で議論している(ことに両者が気づいていない)ために、かみ合わない議論が後を絶たないのです。
ー細谷功、具体と抽象より抜粋
エンジニアとPDMで話が合わないとき、大体これが原因です。
片方が具体的な実装の話をしていて、もう片方がプロダクトの方向性という抽象的な話をしている。お互い同じテーマについて話しているつもりなのに、 抽象度のレベルが違うからポカーンとなったり、話が通じていない と感じることがありました。
この本を読んでからは、議論がかみ合わないと感じたときに「今、お互いどの抽象度で話しているか」を確認するようになりました。 まずは具体と抽象の階層を揃えること 。これだけで、コミュニケーションの質がかなり変わります。
まとめ・要約
レビュー:⭐⭐⭐☆☆(3.5 / 5)
136ページのコンパクトな本ながら、思考の解像度を確実に一段上げてくれる一冊。
- 具体と抽象は相対的な概念であり、絶対的な基準はない
- 上流の抽象度の高い仕事ほど、多数決ではなく少数の的確な判断が重要
- 議論がかみ合わないときは、抽象度のレベルが合っているかを確認する
内容自体はとても良いのですが、136ページと薄めなこともあり、もう少し深掘りした具体例が欲しかったなという印象もありました。ただ、この「コンパクトさ」こそが本書の良さでもあり、忙しい人でもサクッと読めて本質をつかめる点は大きな魅力です。
エンジニアやPDMに限らず、 誰かと議論する機会がある全ての人 にとって、コミュニケーションの質を上げるヒントが詰まった本だと思います。
今回は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました!てば(@basabasa8770)でした!
